クワガタムシ飼育のスーパーテクニック
私のクワガタムシブリードのバイブルとも言うべき本をご紹介したいと思います。月刊むしブックスの「クワガタムシ飼育のスーパーテクニック」小島啓史著です。残念ながら現在この本は絶版となっており、古本で手に入れるしか方法がありませんが(最後のリンク参照)、是非お勧めしたい本です。
前回ご紹介した「クワガタクワジ物語」が、子供の頃の私をこの世界に引き込んだ伝説の本とすれは、小島さんのこの本は、大人になった私を”覚醒”させた本と言えるかもしれません。
この本の良いところは、クワガタムシの生態やブリードの基本を極めて学術的に体系立てて説明してくれているところです。初級編として普通種のコクワガタやノコギリクワガタから中級編のオオクワガタや離島のヒラタクワガタ、応用編としてヒメオオクワガタやオオクワガタのブリードデクニック応用編まで野外での棲息環境から飼育のステップについて種別に詳しく解説しています。
例えば、初級編のノコギリクワガタでは、
- ノコギリクワガタのニッチェ(生態的地位)
- ノコギリクワガタはどんな環境に多く見られるか
- ♂の闘争行動
- 羽化した新成虫はどのように取り扱うか
といった感じです。
また、後半戦のヤマ場は”累代飼育の問題点”と題して展開される小島氏の日本産クワガタムシの生息環境への仮説やブリード方法による発現型や体長の変化といった飼育に関する考察です。
- 同系交配による発現型の変化
- クワガタムシの積算温度
- 幼虫の耐寒性
- 日本列島への種別に見た新入時期
- 海流によって運ばれるクワガタムシ
もともと小島氏は、農獣医学部出身ということもあり、単に採集や飼育のテクニックだけでないところが奥行きを感じさせます。BE-KUWA上でこの本で触れていたテーマ(ミヤマクワガタの発現型や積算温度とディンプルの関係など)について追加実験結果や考察を寄稿されています。
強いて難点をあげるとすれば初版が1996年ということ。最近の菌糸ビン飼育については内容がほとんどないことでしょうか。でも、基本を押さえるという意味では絶対に外せない”バイブル”であることには変わりありません。
おすすめ度:★★★★★